自転車乗りに大人気の瀬戸内海横断ルート「しまなみ海道」ですが、推奨のコースを外れて走るのもおすすめです。
サイクリングコース推奨ルートは走りやすいところが選ばれていて案内看板も整備されているので確かに便利です。しかし、大三島など景色や街並みポタリングの視点から見ると、せっかくの見どころがスルーされている箇所も多いんです。
実際にサブルートを走ってみましたので紹介したいと思います。
今回のサブルートのポイント
使える時間でルートを無数に作れるというのも、このルートの魅力だと思います。めったに来れないところなので、観光重視でルートを作っていきます。
1.大島 東岸ルート、亀老山ヒルクライム
東岸をひたすら北上、途中亀老山をクライム。
2.大三島 西部半周ルート(宗方、大山祓神社経由)
海岸美の宗方、大山祓神社と見どころの多い島。一般推奨ルートは最短で島を通り抜ける東部ルートを通るが、見どころは西部に集中しています。
3.生口島 西部ルート(瀬戸田経由)
西岸ルートで、古い街並みの残る瀬戸田を経由。
東京出発、福山から今治へ高速バスで移動
東京発の場合、(1)高松か松山へ飛行機輪行、(2)福山まで新幹線で行き今治まで高速バス「しまなみライナー」に乗る、の2つの方法があります。
直接今治に行くバスで輪行可能なものは見つけられませんでした。「しまなみライナー」には、同じ名前で広島発のものもありますが、こちらは運行会社が違うため輪行不可です。
朝一番に今治に着くのは最低でも昼頃になるため、全行程1泊2日以上必要です。
今治 街中ポタリングも見どころが多くて楽しい
今回は今治周辺をポタリングするので、初日は今治泊まり。 今治城に、今治造船、来島水軍の拠点であった来島など、見どころがたくさんあるので、時間があれば一回りしてみるといいです。B級グルメの今治焼豚玉子飯も逃せません。
私の場合、まずしまなみ海道に出発する前に、生島来島海峡を海峡中央から見渡せる「小島」に渡ってきました。
この海峡は、しまなみ海道からだと来島海峡大橋の上から見ることになるのですが、せっかくなので下からも眺めてみたいじゃないですか。
「小島」へは、今治造船のそばにある桟橋から定期小型船が出ています。小島自体は自転車でも行けますが、乗れる場所が少ないので桟橋の駐輪場に置いて出かけた方が楽です。今治造船の光景も瀬戸内海ならではの光景なので、ぜひ見てみてください。
今治と小島の見どころは、別ページにまとめましたのでこちらからどうぞ。
しまなみ海道へ出発、まずは大島へ
早朝、今治市内のホテルを出発。
来島海峡大橋のたもと、サイクルステーション今治へ。こちらにも宿泊設備もありますが、市街地のホテルのほうが安いです。1日でしまなみ海道を横断するなら利用するものありかな。
いきなりハイライト、来島海峡大橋
初っ端から自転車・二輪用の橋取り付きループ道路に圧倒されます。バブルの産物と言えばそれまでですが、今後は作られることはないんじゃないかという豪華設備です。巨大なつり橋のアンカレイジといい、感覚が狂いそうなスケール。
これだけの橋を自転車で渡れるなんて感動ものです。歩いている観光客も多かったですが片道6km近くあるのに、横断したんですかね?
海峡途中の馬島にある、住民専用IC。橋を作る時の保障の一環だったそうですが、他では見たことのない仕組み。自転車だと、歩行者用エレベーターを使って橋の真下に一気に移動できます。
島の山頂部に橋が乗っている光景は、島の方々の気持ちを考えるに重い。まるで足場扱いなのす。私ならキツイなあ。
大島 プチヒルクライム付
推奨コースでは島の中央を横断するのですが、今回は海岸沿いを走りたいのと亀老山へヒルクライムするため、東岸ルートを通ります。 このルート、車の通行がほとんどないので、自分のペースで走ることができていいですね。その代り、道が狭く、アップダウンは激しいです。
しまなみ海道は、本当に自転車乗りのことを考えて整備されている。これだけ至れり尽くせりの案内板は他所では見たことがない。正確な縮尺の地図で場所が説明されているのもポイントが高いです。
道の駅の近くの漁港。浦を越えるたびに現れる港町に、津々浦々とはこのことを言うのかと思いつく。
東岸ルートは、林道のような路面状況だが、景色がいい。通行量皆無。補給地点もないので、飲み物は切らさないように気を付けて。
途中途中に現れる社が、また味があります。
亀老山ヒルクライム
大島のハイライトその1、来島海峡の絶景を求めて亀老山へ。
現地の絶景写真を見て、行ってみたくて仕方がなかった場所の一つ。 標高307m、勾配10%程度ときつい坂が続くものの、ヒルクライムに慣れている人なら困難でないはず。流石に自転車乗りも多いです。
山頂展望台からの生島来島海峡は、まさに絶景。この景色は見逃せませんね。さっきまで通ってきた今治や来島海峡大橋も眼前に。
山頂の店で売っている玉藻塩アイスもおいしいです。 亀老山を下りたら、さらに東岸を北上。海岸に降りては丘を越えという状態で、だんだん疲れがたまってきます。
伯方島を島内一周
本日は伯方島泊まりのため、余った時間を活用して島内一周。終始田園風景で、あまり変化がないので、時間がなければ飛ばしてもいいと思う。推奨コースでは、南岸を通ってあっという間に次の島に抜けてしまいます。
この橋、車線の一部を自転車道に転用しているので、橋の真ん中を走っている感がすごい。
橋を渡ってすぐの場所にある水軍の根拠地、船折瀬戸。船を置くには小さすぎるので見張り場?基本、海峡が狭く航行に支障があるところが選ばれているような気がしますね。
生垣が船のへさきの形をしているという独特なお宅。3m近い高さがあるので、本物の船見たいです。
宿泊した民宿「うずしお」さんの夕食。
大三島 古と景観の島
この島の海岸風景は本当にすばらしく、重要文化財の多さで知られる古社「大山祓神社」もある。景色もどんどん変わるので、飽きることもない。 本当は大三島に泊まりたかったのだが、主な宿泊地が島の反対側。ロードバイクなら1日でたどり着けるかも。
大三島橋
本日は朝から雨、横殴りの土砂降りの中の走行は骨が折れます。島だと風をさえぎる場所がないので、よけいに苦しい走り。
南岸ルートは、アップダウンのある景勝地
南岸から西岸にかけては、浦を越えては海辺へを繰り返し。林道状の道は1.5車線と狭く、落ち葉や枝が多いですが、車は少ないのが幸い。 大島よりも全体的に高いところまで登るので景色がいいですね。ミカン畑を眺めながらののんびりした道行き。
宗方からの多島海の光景は特に素晴らしい。旧学校の脇から海辺の小路をちょっといくと、三ツ島の光景が。ちょっとしたプライベートビーチの感がありますね。周回道路からは見えないので、ぜひ立ち寄ってみてほしいところ。
この先は丘越が続くので、休憩がてらにぜひ。
大山祓神社までは丘ながら、見通しのきく道路が続きます。対岸には、大崎上島がどっしり。前回旅したところですが、まさか対岸から見られるとは。リピーターならではのうれしさですね。
大山祓神社、武士の社
伊予一ノ宮の神社。 宝物館には源義経や弁慶など、錚々たる武将たちの寄進した鎧の数々、女性用鎧まであります。重要文化財保持1位とも言われています。
ここから生口島までは道も良く、緩やかな坂しかありません。
道の駅「多々羅しまなみ公園」で昼食
多々羅大橋の手前にある道の駅にて。せっかくの島なので、一般に出回らないという鮮魚料理「マハタの薄造り御膳」を選択。癖のない淡泊な味わいが、疲れた体に染みますね。なかなか歯ごたえのある身です。
多々羅大橋、鳴龍の仕掛け付
早速、大橋を横断。道の駅から橋への取りつきがちょっと分かりにくいです。いったん100mほど手前の登り口まで戻らなければいけません。橋が目の前なのに入口が逆というのは盲点ですよ。
橋ごとに無人料金所があります。
生口島、旧市街探索
この島も見どころが多です。推奨コースでは、東岸を通ってすぐ因島に行ってしまいますが、おもな見どころは西側にあります。
瀬戸田の旧市街、耕三寺へ
海岸風景におなか一杯になってきましたので、趣向を変えて旧市街探索に瀬戸田に行くことにしました。
古民家群や江戸時代の名残のある港など、保存状態は大変良いです。この街並みを見るだけでも、瀬戸田に来る楽しみがありますね。歩くとなるとけっこう広いですが、自転車なので楽々です。
小高い丘の上には、3重の塔。これは耕三寺とは別のお寺。
地元の方でにぎわう岡哲商店で揚げたてコロッケを購入。ホクホクでおいしいです。
耕三寺
瀬戸田にある財閥の主が作った寺。各地の名寺の建築を引き写した社殿の数々は見事。成金の寺と侮るなかれ。入場料がかなり高いが、見る価値はあります。
定番のアイス工房「瀬戸田ドルチェ」にも立ち寄り。
因島、のんびり海岸散歩
推奨コースでは、島中央部を横断。こちらは西岸ルートを選択。東側のほうが変化があって面白そうですが、さらに1日必要そう。因島に泊まって、他の島へフェリーで巡るのも、次回は試してみたいですね。
因島の西岸道路はほぼ平坦。途中、親切な島のバイクの方に橋まで先導していただきました。 しかし、バイクについていくのはつらい!
長大な因島大橋
凄いという感想と、あそこまで登るの!?という気持ちに揺れています。
登ってみるものですね。案外簡単でした。それより、空が暗くなりつつあるのが気になります。
橋への道から、小さな岬の灯台が見えました。道がなさそうな場所にありますねぇ。
因島大橋は上下二層式の橋で、歩行者や自転車は下層を通ります。頑丈な柵の中なので、高所ならではの怖さは全然ないですが、景色もないです。あまりの単調な風景に、どのくらい走ったのか分からなくなるほど。長すぎるぜ。
向島、終点までラストスパート
ここまでくれば尾道まであとわずか。もう坂はありません。推奨ルート通り、西岸ルートを選択。向島は普通の町なので見どころは乏しいですが、すでに満ち足りた状態なので、十分です。
尾道へのフェリーは何か所からも出ていますが、一番駅に近いのは、福本渡船。あまり看板がなく、場所が分かりにくい。豊浜橋の信号から北上で一番奥にあります。
尾道到着!銭湯もあるよ
尾道の線路の北方に銭湯があるので、時間があれば一風呂浴びて帰ることをおすすめします。尾道ラーメンなど飲食店は、尾道の東側。最寄りの新幹線の駅「新尾道」へは輪行ができないので、福山から帰ることにしました。
駅前は広いので、輪行準備には困りません
尾道ラーメンの老舗で夕食を食べて、しめとしました。
こちらのルートもおすすめです
- 自転車ヒルクライム 国道第一の激坂、暗峠を登ってみた
- 六甲山縦走ヒルクライム(逆瀬川~再度山~神戸)
- はじめてのアワイチ(輪行で行く淡路島一周)
- 夜行フェリーで行く、剣山ヒルクライム(大歩危~貞光)
- 雲仙普賢岳ヒルクライム(小浜温泉発、仁田峠を経て島原へ)