ムガル帝国のうたかたの王都「ファテープルシークリー」に行ってきました。
アクバル帝によって建設された荘厳な王都ながら、質の良い水の確保が難しくわずかに使われただけで放棄された都です。都のそばに大河ありと言いますが、このあたりには川らしい川がないので、放棄はやはり時間の問題だったのでしょう。
世界遺産ながら、ただでさえよろしくないアグラの中でも特に客引きのたちが悪いと聞いていますので、心配半分で出かけました。
アグラ・イドガーバススタンド(Idgah)
アグラから行くには、アグラ市内のイドガーバススタンドから直行バスが出ています。バスには英語の行先案内板はありませんが、聞いて回ればすぐ教えてもらえます。しかし、バス代より、タージマハルのホテル街からイドガーまでのオートリクシャー代のほうがよっぽど高い・・・
バススタンド前は軽食店がいくつもあるので、食事や飲み物の買い出しには困りません。サモサ店のお兄さんをパチリ。ポーズをとってくれるのはうれしいけど、揚げ物なのに大丈夫?
バス内部はこんな感じ。道中砂ほこりがひどく、私はここで一気に喉をやられました。後で見たら、鼻の中まで真っ黒。この路線を使うときはマスクをおすすめします。35km程度の行程なので、途中休憩はありませんでした。
道中の田舎風景も見どころの一つか。幹線道路を人が群がって通行を邪魔しているシーンもありましたが、行列作って行進しているということは、雰囲気からいってデモの予兆っぽい?
ファテープルシークリーに近づくと、城壁が見えてきます。ほぼ全周に渡って城壁が残っているのは驚き。よく石材採りで失われなかったものです。城壁を歩いてみたいところですが、観光エリアから離れているのでよっぽど時間がないと難しいかも。外周路線バスは城門の一つを通り、やがてバススタンドへ。
ファテープルシークリー・バススタンド(fatehpursikri)
終点のファテープルシークリー・バススタンド。目の前に公衆トイレもある親切設計。なぜ男女表示が現地語でしかないんだ・・・
村内の狭い脇道から登るのがジャマー・マスジットへの最短距離なのですが、道中不安になると思うので、スタンドから少し道を戻ったところにある車道を登ったほうが分かりやすいです。丘の上の遺跡群に行ってしまうと飲み物を買える場所がほとんどないので、先に買っておくことをおすすめします。
ファテープルシークリー村内
村内は、食事処などがあるいたって庶民的なところ。門前町という言葉がぴったりです。表通り以外はかなり複雑なので、路地に入ると戻るのが難しいかも。鉄道駅もあるのは帰国してから分かったこと。道理で村の規模が大きい訳ですね。
ジャーマー・マスジッド
宮殿の隣にある巨大な金曜モスク。正門前の階段を登るにつれて、現れてくる門は圧巻。規模が大きいだけでなく、デリーやアグラのモスクよりも彫刻の細かさなどの精緻な造りが目立ちます。
階段を登り切ったところから、村内を一望。山の上の風景ですねぇ。周りが真っ平らなだけに眺めが良い。これで暑くなければ完璧なのですが。
赤いモスクにありながら、ひときわ目につく白い霊廟。
ここでの問題は、地元の土産物売りの子供たち。ひっきりなしに声をかけてきて、ゆっくり建物を眺める余裕もありません。いつまでもついてきて、まあしつこいこと。どこにいっても客引きにほとんど声をかけられない私ですらそうなのですから、ほかの人たちの苦労がしのばれます。というか、目の前で苦労している方々がいっぱい。悪徳の街という気持ちがちょっと浮かんでしまいました。
宮殿に向かう門側。
礼拝所
左右の列柱回廊も見事です。
象嵌造りが見事な ミスラーフ
ファテープルシークリー宮殿内部
こちらは入場料が必要です。入口では子供たちが入場券と絵葉書の交換をしきりにせがんでいました。どうも、入場券を転売しているらしいのですが、観光客に使い終わった切符を売りつけている現場は目にしませんでしたね。
内部に入ると客引きゼロ。アグラの建築群と同じく、こちらの建物もひたすら赤いです。石造ながら、木造様式を模した建物。
放棄された都とは思えないほど、彫刻が美しいです。日本だと雨で石が摩耗していきますが、こちらの赤砂岩は固いのでしょうか?
重心計算が難しそうな梁回廊。ごついのに繊細な印象を受けるのが不思議な一品。
高台ながら、水盤のような池が点在しています。
ファテープルシークリー裏門
せっかくですから、あまり観光客が行かなそうな裏門に行ってみますかね。こちらまで来るとまったく人がいません。
象の立像が両脇にある城門
幅の広い敷石のスロープ。キャランバン・サライが隣にあるとあって立派なものです。
階段井戸
井戸内部にも入れます。
らせん階段を下っていくと、井戸最下層に。井戸とは思えないほど大規模です。
残念。水は枯れてますね。
城壁近くの監視塔Hiran Minar
現在修復中。搭のトゲトゲはいったいどんな意味があるんでしょう。アフリカにありそうなデザインですね。 こちら側の城壁は失われているらしく、同じような井戸や搭が点在していますが、周囲は畑です。