トルコの西の玄関口、インスタンブールの古城壁を散策してみました。
イスタンブールの旧市街を守る城壁は、コーラ修道院や金角湾など見所が散在。
城壁からの眺めもマルマラ海あり、街並みありと素晴らしいです。
バスやトラムを使えば短時間でも楽しめるのでおすすめです。
城壁を訪れた人のWEBサイトはいくつもあるのですが、具体的な行き方や注意事項はあまり見かけません。
せっかくなのでまとめてみました。
イスタンブールの城壁とは
イスタンブールは、かつて東ローマ帝国(=ビザンチン帝国)の首都だった街。
英名だとコンスタンティノープルですね。
オスマン・トルコ帝国に圧迫されたこの街が長く陥落せずにすんできた理由が、中世最強と言われた市城壁の存在です。
テオドシウス帝(在位379-395)時代に作られました。
詳しくは、塩野七生氏の小説「コンスタンティノープルの陥落」(Amazonへ移動)が詳しくておすすめです。
外堀、外城壁、内城壁の3重の守りは、今も健在。
倒壊寸前の城壁が多いものの、特にイェデクレ付近は塔が延々と連なっている姿を目にすることが出来ます。
外堀は今は畑になっています。
主要な城門以外にも小さな門がちらほら。
車道でもあるので、高さも幅も本当にぎりぎり。
主要門でないと信号機がないので、信号員が交通整理しています。
城壁の上に登ることもできますが、整備箇所がまちまちなので、城壁を歩いて行くと降りる場所がなくなります。
海の印象の強い街ですが、市内はかなり起伏のある地です。
地図では半島中央部にリュコス渓谷なる地名があることも知っていましたが、実際山坂だらけです。
城壁も起伏に沿って上がり下がりを繰り返します。
聖ロマノス門が、コンスタンティノープル包囲戦(Wikipediaへ移動)でオスマン・トルコの一番の攻撃地点になったのも、現地に行くと納得できます。
トプカプtopkapi-ulubatliから歩く
最も交通量の多いトプカプは、ローマ帝国時代では聖ロマノス門と呼ばれた主要門の一つ。よく間違えられますが、トプカプ宮殿とは全く別の場所です。
市民生活に溶け込んだ様子が最大の見どころ。
幹線道路によって寸断されながら、堂々たる城壁がお出迎え。
残念なのは、城門自体が再開発で無くなっていること。内城壁だけが残っています。
オスマン・トルコによる攻撃の主要地点なので、仕方ないね。
トプカプは、コーラ(本によってはカーリエとも呼ぶ)修道院の最寄りバス停でもあります。
コーラ修道院に行くなら、城壁から坂を下ること徒歩約10分。
<トラム>
旧市街からはゼイティンブルヌ行きトラムT1でトプカピ駅(topkapi-ulubatli)下車。徒歩2分。頻発。
<メトロ>
空港からはメトロM1でトプカピ駅(topkapi-ulubatli)下車。徒歩2分。頻発。
<バス>
市バス、ドルムシュ(地元乗合バス)で、トプカプ下車。徒歩0分。頻発。新市街行きが多い。
イェデクレ(Yedikule)から歩く
オスマン・トルコ時代の城塞ですが、城壁側の門は、東ローマ帝国の黄金門。
アドリア海まで続くエグナティア街道(Wikipediaへ移動)の出発点でもあります。
ローマ時代の建物にオスマン・トルコの建物を付け加えたため、2種類の建築様式が入り交じっています。
城塞からはマルマラ海が一望。周囲に高い建物がないので、どちらも向いても素晴らしく遠くまで見渡せます。
この地域は、最も3重城壁がよく保存されている割には修復は手が回りきれておらず、往時の雰囲気がたっぷり残っています。
ダウンタウンのただ中のため、近年減ってきていると言われるトルコ風の木造住宅が多かったり、子供たちが路上で遊んでいるなかを散歩できるのもGood。
難点は、夕方以降は治安が悪いであろうこと。
昼間はごく普通の住宅地なのですが、夜間は近づかないようガイドブックに書かれているように、家や車の窓ガラスが割られている比率も多く、私なら夜は恐ろしくて近寄れません。
イェデクレからトプカプの間は城壁内部に貧民街があるので、城壁外側の幹線道路を歩き城門だけ内部を散策するのがおすすめ。たいてい城門近辺には警察署があります。
<トルコ鉄道>
イスタンブール・シルケジ駅から乗り、イェデクレ駅(Yedikule)下車、徒歩5分。
本数は少ないが、沿線はマルマラ海側の城壁に沿っているので、景色がよい。
<ドルムシュ(地元乗合バス)>
終点イェデクレ下車。イェデクレ城塞の入場口からは少しだけ離れている。城塞の幹線道路側が終点。徒歩3分。
トプカプ駅からイェデクレまで頻発。行き先がバスに書いてある。英語は通じないとのこと。
行き先がトプカピならば、主要バス停なので利便性高し。
アイヴァンサライ(Ayvansaray)から歩く
ガラタ橋のたもとエミノニュ(Eminonu)からアイヴァンサライまで船で金角湾を上り、宮殿跡を歩くことができます。
宮殿自体はほとんど外壁ぐらいしか残っていないので、金角湾クルーズのおまけとして行く感じ。金角湾側の城壁の終点なので、塩野七生氏の小説にはまった人なら、思いを馳せられるかな?
金角湾自体が面白いので、時間があまったらぜひ。
<金角湾定期航路>
エミノニュからアイヴァンサライまで船で約30分。
アイヴァンサライ下船。徒歩5分。
イェデクレ要塞
入場料が必要ですが、海に近い場所に建てられてるだけに城塞の塔からはマルマラ海が一望できます。
近くに高い建物がないため、市街地も遠くまで良く見えます。
駅側が入場口。城壁沿いの外周道路側からは入場できません。
円塔の内部
塔の内部は螺旋状の階段を通って上に登れます。
筒状になっている内部空間の穴は、かつての牢屋です。
塔からの眺め
城壁を境に風景が一変。建物の密度が低くなります。
黄金門
かつての黄金門が、城塞の旧正門になっています。
よく見ると、ここだけ建築様式が違います。
アヤソフィアを彷彿とさせる造りで、オスマン・トルコ時代とは大きく違うように思います。
城壁の写真
イェデクレ要塞に近い城壁。
崩れる寸前の内城壁の塔が立ち並びます。
この辺りは、外城壁や外堀もよく残っています。
写真の手前の石段から奥の畑部分が外堀の跡です。
内城壁から外を眺める
右側から内城壁、外城壁、外堀です。
外城壁の塔は、内城壁と構造が大きく違うのがわかります。
主要門でなくてもこの規模
主要門の間にはいくつもの門があり、これは車も通れる大きめな門。
隠されたように小さい人専用の門もたくさん存在します。
本当にギリギリのサイズ。イスタンブールでは城壁サイズという車のクラスがありそうですね。
城塞をよく歩かれたんですね よくわかりました、有難うございます。
城壁をお楽しみいただけたようで、なによりです。
城壁沿いが幹線道路なので、要塞から好きなだけ歩いたらドルムシュに乗って、トプカピ門に戻るのが一番安くて簡単な方法でしょうね。トプカピ門は、旧市街や新市街に行く交通の要所なので、次にどこに向かうにも便利です。