熊本県の阿蘇外輪山にある、通称「ラピュタの道」をサイクリングしてきました。
東側の大観峰から行くルートが知られていますが、目先を変えて肥後街道二重峠の石畳を経由してラピュタの道に下りるルートを選んでみました。ラピュタ道そのものは観光地ではないため、現地では案内板は皆無。地図での確認は必須です。
JR市ノ川駅からスタート
JR市ノ川駅からスタートです。無人駅ながら、駅前にトイレや自動販売機があるので、出発点としては十分な設備です。これからの道中はカルデラに下りるまでほとんどトイレがありません。
名水の湧く隼鷹天満宮
駅からは道をジグザグ曲がりながら隼鷹天満宮を目指します。阿蘇水害の傷痕で道路を作り直しているようで、途中で寸断されているところもありました。ちょっと迷いながら、熊本藩のお茶屋跡脇にある趣のある天満宮に到着です。なんとなく通り過ぎるのが惜しくて、寄ってみたらこれが正解。
神社脇の湧水地。阿蘇は名水で知られるだけに、土混じりもなくとてもすっきりした味わい。名水と言われていても癖のある味の場所も多いですが、こちらはかなりおいしい水ですよ。ほどよい冷たさも気持ちいい。
旧街道沿いの古民家群。県道149号を外れた旧肥後街道筋は、古民家が点在。関東では見かけない建物の造りに興味津々。
肥後街道石畳
二重峠に至る、石畳道の入口に到着です。阿蘇カルデラ内からミルクロードまでは、標高差約200mの道のり。旧街道に入った途端、砂利敷のダートロードになりました。こんな道が走れるのもクロスバイクならでは。
火山台地のため、崩れやすい道を保護するため出水も意識した石畳。他の石畳道ではここまで完備しているのは見たことがないですね。江戸時代からこのレベルの整備とは驚きです。道路作りに動員された地域住民の負担も大きかったと聞き及びます。
自転車での通行をネットで見かけて現地に来たのですが、石畳が始まる直前に自転車走行禁止の看板発見。せっかく来た道ですから、ここからは担ぐことにしました。
雨上がりため滑りやすい石、階段でないのが不思議なくらいのきつい急坂。一歩ごとによろけそうで、とても自転車に乗れるような場所ではないですね。歩くだけでも精一杯。石畳とはいえ徒歩道なので、石ごとの高さもまちまちです。
途中にある湧水。こちらはやや硬水ぎみで土が少し混じっているようです。味は隼鷹天満宮のほうが上ですね。この先下山するまで水の補給地がないため、暑い時期には貴重な場所となるのでしょう。
上に行くほど石畳が 断続的になって、歩きやすくなっていきます。車道に合流するところが二重峠です。
二重峠に到着。これからはミルクロードを快走です
二重峠からは広々とした外輪山上部に続くミルクロードを進んでいきます。これからは自転車に乗れます。数度のヘアピンカーブを経て、本格的な原野の中の道に。数日前に野焼きがあったばかりで、焦げ付いた臭いが周囲に立ち込めています。電柱はちゃんと野焼きを意識して高くなっているんですね。ガスに包まれた道中でしたが、ここにきて一気に晴れてきました。これはテンションが上がってきましたよ。
野焼きされていない側は、カヤの原。結構起伏がありますね。
ラピュタの道入口
正式な名前は「阿蘇市道狩尾幹線」。ミルクロード側は注意看板のオンパレード。ちょっと立てすぎじゃないですかね。かえって何を警告しているのかわかりません。まともな道じゃないですよ、ということでしょうか。全面通行止めの看板もありますが、なぜか阿蘇カルデラ側には設置されていませんでした。
平均斜度が8.1%、獲得標高が457m。ダウンヒルだとあっという間ですが、早く下りるのはもったいない!
・・・幹線?下りはじめた途端、ひび割れだらけの路面に錆びついたガードレールに遭遇。かなり熟成された道と見ました。舗装の穴も落石もたくさんあります。急カーブはまるで止まれないので、スピード出しすぎ注意。
景色は最高。阿蘇中央火口は見えなくても、この大迫力。写真ではパノラマ感がいまいち出ていないですが、実際は180度の絶景が広がります。
ネットで紹介されることが多い「ビュースポット」から見た下界の様子。すぐ足元にこれから下りる道が通っているのがみうけられます。これ、上で車が石を飛ばしたら、下の人に当たりますね。落石注意の看板は伊達じゃない。
カルデラ外縁部とあってかなりの起伏です。走ってみるとここにしか道を作れなかったことがよくわかりますが、実に強引なルート取りでよく作ったものです。道が始終崩れるのもやむを得ないでしょう。
度重なる噴火でバームクーヘンのようになった地層。大雨の日には滝になると思しき地形もありました。
だいぶ下りてくるとヘアピンも舗装も落ちついて快適な道のりに。
阿蘇カルデラに下山
ゆっくり下ったつもりでしたが、15分もかかっていません。内牧側からラピュタの道に行く場合は、とても目立たない脇道を入ることになります。下からだと入口が分からなかったことでしょう。写真は下道から。下から見るとただの崖に見えますね。
内牧温泉へ寄り道
下山後は内牧温泉に寄り道。寒い時期のダウンヒルは本当に冷え込むので、熱い内牧温泉の湯は助かります。温泉地に数か所ある共同浴場ならお値段もお手頃。写真は川沿いのある七福温泉。自転車は階段を降りて建物の前に置くか、路上駐車です。
JR内牧駅に到着
本日はここまで。午前中だけでこんな魅力的な道を走ることができる熊本市民の方はうらやましいかぎりです。今度は阿蘇内輪山と合わせて来たいですね。